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工作色々

物を買ってばかりだとお金が続かないので、工作なども少々。順序としては、実はこちらの方が上の買い物より先です。工夫で何とかなるものも結構多いのですよ。

遮光フード

普段望遠鏡を展開しているのは、家の近くの駐車場。住宅街のど真ん中の割に見晴らしがいいのは助かるんですが、街なかだけに街灯などの光からは逃れがたく。そこで、気休めかもしれませんが、コントラストの向上などを狙って、望遠鏡の筒先につけるフードを自作しました。この手のフードは完成品も売られていますが、意外といい値段がします。簡単なものですし、自作してしまったほうが早いでしょう。

材料は植毛紙と0.7mm厚のポリプロピレン(PP)板、PP用の両面テープ。これだけです。いずれも東急ハンズで揃えました。植毛紙は、天文機材の専門店でも裏がシールになったものなどが売られていますが、かなり割高。私が買ったのは、たったの840円/mなので、かなり安く上がりました。こちらはシールになっていませんが、後述するようにPPは通常の接着剤との相性が悪くてシールは使えませんので、実質、問題はありません。
PP板は約450円。風がそよいでも変形しないよう、そこそこの厚さのものを選びましたが、もう少し薄くてもいいかもしれません。また、材料は塩ビでもよいかもです。この辺は好みですね。
厄介なのは、PPにせよ塩ビにせよ、通常の接着剤・テープを受け付けない点で、これらの材料を接着するには専用品が必要になります。これが高い!写真のもので1000円ちょっとしました。こればかりは仕方ありません。まぁ、それでも合計で2000円以下しかかかってませんので、完成品を買うのに比べればはるかに安いです。

作り方は簡単。PP板の内側に植毛紙を貼り、丸めて接着するだけです。PP板のサイズは現物あわせで。最初、PP板の接着面にマジックテープを貼り付け、展開・巻き付け可能にしようと思ったのですが、マジックテープ同士の接着力に両面テープの接着力が負けてしまったので断念。まぁ、今のところ自宅周辺以外で使う予定もないので、多少かさばるけど構わないでしょう。

装着してみると、フード長がほぼ倍に伸びていい感じ。植毛紙を貼るのに使った両面テープは厚さがあるため、これが本来のフードの上端に引っかかってストッパー代わりになり、装着位置もピタリと決まります。思った以上にいい具合にできました。

バーティノフマスク

【後日追記
下記の方法だと、OHPシートの平面性などの問題でピント位置が変動してしまうことがあるようです。やはり手抜きをせず、地道に切り抜いていくのが最も確実と思われます。
→ 結局、EdgeHD800導入後に安価な市販品を買いました

フードを作った余勢を駆って、ピント合わせのための小道具も作成。「バーティノフマスク」というもので、光の回折現象を利用して厳密なピント合わせを可能にするものです。詳しくはこちらのサイトなどを参照してください。ただ、これを見ても分かるとおり、市販品はこれまたいい値段がします。要はこれと同じ形で光を遮ることができればいいわけですから、これも自作してしまいます。
バーティノフマスクのパターンは結構複雑ですが、幸い、こちらのサイトでマスクのパターンを作成・印刷することができます。使い方は簡単で、望遠鏡の焦点距離と口径、マスクの周辺の黒く塗りつぶす領域の幅を入力すれば、パターンを生成してくれます。普通はこれを紙に印刷して厚紙やプラ板に貼り、切り抜けば完成…なのですが、自他ともに認める不器用者の私としては、こんな複雑なパターン、切り抜きたくありません。
そこで一計。大昔に買い込んで使っていなかったOHPシート*1がありましたので、これにパターンを印刷し、切り抜かずに使用することに。厳密に言えば、星像の悪化や光量の減少があるでしょうけど、光学面の前なので影響は少ないでしょうし、所詮ピント出しに使うだけのものですから、細かいことは気にしなくても大丈夫でしょう、多分(^^;
印刷したら、次はこのマスクを支えるセルの作成です。フードの先に一時的に取り付けるだけのものですので強度は不要。ということで、家の中に転がっていたボール紙を利用します。

まずはボール紙に丸く穴をあけます。穴あけに使ったのはご覧のカッター。ちょうどコンパスの鉛筆の部分がカッターの刃になったようなモノです。ダイソーで100円で購入。オルファやNTカッターあたりからは、もっとしっかりした製品も売られていますが、値段が10倍以上。こんなの、たまにしか使わないものですし、これで十分です。

穴をあけたボール紙2枚で、マスクを印刷したOHPシートを挟み込み、接着します。接着前のOHPシートの仮止めにはドラフティングテープを使用。跡が残らず剥がせるので、なにかと重宝します。

マスクを固定するために、フードに取り付けるための「脚」を紙で作っておしまい。実に簡単です。ちなみに脚の部分に切欠きがありますが、これは上で作ったフードにある、PPの重ね合わせ部分に合わせたもの。「脚」は、見栄えを気にする人ならフードに合わせて丸く作ったり、もっとスマートな固定方法を選ぶのでしょうけど、面倒なのはいやですし、実用上はこんなのでも十分です。

このマスクをつけてオリオン座の1等星リゲルを撮ってみたのが上の写真。左がピントの合っていない状態で、ピントがぴったり合うと右の写真のように、きれいな光条が現れます。なかなか分かりやすいです。
難点があるとすれば、思った以上に光量の減少が激しく、かなり明るい星でないとピントの確認が難しいってことくらいでしょうか。拡大撮影の場合もキツいですね。頑張ればできるんでしょうけど…(^^;

*1:職場の研究室にいる大学生と話をしてたら、彼らOHPを知らないんですよね。今やPowerPoint全盛なので当たり前ではあるんですが…ジェネレーションギャップがorz