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Pfizer製薬、新薬の開発中止で苦境に

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/forbes/061208_pfizer/
世界最大の製薬メーカー、ファイザー製薬が進めてきた新薬の開発が頓挫したという話題。開発を目指していた「トルセトラピブ」という薬は、俗に言う「善玉(HDL)コレステロール」を増やす効果を持った新しい高脂血症薬で、現在医薬品の中で最大の売り上げを誇る同社の高脂血症薬「リピトール」('05年度売上 約122億ドル!)の後継として*1、8億ドルもの巨費をかけて開発していたもの。これが臨床試験の最終段階(フェーズIII)で、かえって心血管系障害を引き起こしかねないことが明らかとなり、開発中止になったというのですから影響は甚大です。
というのも、肝心のリピトールの特許が2010年には切れてしまうからで、こうなると安価なジェネリック医薬品との競争にさらされて売上が落ちるのは確実。しかもこの他にも、来年には医薬品中第3位の売上を誇るカルシウム拮抗剤(血圧降下剤)の「ノルバスク」('05年度売上 約47億ドル)の特許が切れますし、かなり厳しい状況になるのは間違いのないところ。もちろん、ファイザーでは「トルセトラピブ」以外にも多くの医薬品が研究されていますし、年間総売上513億ドル、純利益81億ドルという超巨大企業*2ですから今すぐにどうこうということはないでしょうけど、年間の研究開発費が70億ドル超という巨額に達しているだけに、新製品がなかなか出ない状況が続くようだと楽観できませんね。
それにしても、100億ドル単位の金額がポンポン飛び交うなんて…恐ろしい業界だ(;´Д`)

*1:正確には、トルセトラピブ単独ではなく、リピトールとの合剤として使うつもりだったようですが

*2:ちなみにインテルが年間売上388億ドル、純利益87億ドル、マイクロソフトが年間売上397億9000万ドル、純利益122億5000万ドル(いずれも2005年度)ですから、それらと比べてもファイザーがいかに巨大な企業かが分かるというもの。というかマイクロソフト、利益率高すぎ(^^;