PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

CP+ 2019

f:id:hp2:20190304000105j:plain

今年もCP+が2月28日からパシフィコ横浜で開催。というわけで、週末を待って行ってきました。例年通り、天文関連製品中心のレポートです。


ビクセン

f:id:hp2:20190303235118j:plain

今年で創業70周年を迎えるビクセン。ここ1年は、SXP2赤道儀やFL55SS、高性能補正レンズ類の発売などかなり精力的に製品展開をしてきた印象があります。


ブースは会場中心付近の目立つ場所。昨年同様、講演も大人気でかなりの人を集めていました。星景写真の人気の高まりも相まって、一般の写真愛好家の認知度もかなり上がってきたように思います。


f:id:hp2:20190303235148j:plain

ブースの一番目立つところには、真っ赤なR200SSの70周年記念カラーモデルが。なんと量産機の3倍の速さで撮れる!……なんてことはなさそうです、残念ながら(^^;


色付きの鏡筒というと、かつて同じビクセンから出ていたシュミットニュートンR140SS*1や、ミザールの120SL-RS20、同RS20P*2などを思い出す方もいるかもしれません。


ちなみに、右下に見えるのが近日発売予定の「SXP2赤道儀ケース」。昨年出た「AXJ用赤道儀ケース」と同様、強度と軽さを兼ね備えたプラパール製となっています。実際、重量は従来のアルミ製ケースよりかなり軽く、よほど荒っぽい扱いをしない限り、必要十分な強度を持っているように感じました。同じ構造の「SX赤道儀ケース」も用意されていて、同様に近日発売予定です。


f:id:hp2:20190303235233j:plain

先日発売されたばかりの「エクステンダーPH」もさっそく展示されていました。レンズが大きな間隔を持って配置されているため、芯出しをはじめ量産にかなり苦労したようですが、製造工程中に複数のチェックポイントを設けることなどで克服したそうです。


大きな筐体ですが、内部空間が大きいため、重量は見た目ほど大きくありません。


フィルター径については、2インチ接眼部対応と汎用性を取った結果、φ48mm対応と他の補正レンズ類とは異なってしまいましたが、これについては現状、やはりステップダウンリング等で対応するしかなさそうです。逆に、他の補正レンズ類がφ52mm対応になっているのは、予想通り周辺光量確保の意味合いが大きいようです。


f:id:hp2:20190303235306j:plain

このあたりを解決してくれそうなのが、参考出品の「フィルター変換リング」です。これを用いると、直焦ワイドアダプター60, 60DX内にφ52mmのフィルターを取り付けることが可能になります。


f:id:hp2:20190303235319j:plain

リングをねじ込むのは、直焦ワイドアダプター60DXだと黄色の矢印で示した場所。補正レンズ群と直焦ワイドアダプター60DXの接続には緑色の矢印で示したネジを用いるので、特に問題なく併用が可能です*3


f:id:hp2:20190303235336j:plain

ただ、リングを見ると外周に滑り止めの刻みこそあるものの、ボーグのリング類に見られるような噛み込み解消用の切り込みはありません。まぁ、万が一ネジが噛み込んで取れなくなったとしても実害はあまりないとは思いますが、この手の事態は「あるある」なので、もし製品化する場合は検討してもらいたいと思います。


f:id:hp2:20190303235418j:plain

そして、今回の出展の目玉はおそらくこれ。「新型ポラリエ」こと「ポラリエU」です。


従来のポラリエは、天体写真になじみのない層にも親しみを持ってもらえるよう、あえてコンパクトカメラに似せた筐体を使っていましたが、ポラリエUでは極軸方向に大きく伸長。その結果、極軸を支える部材のスパンが伸びて強度が大きく上がっています。赤道儀として理にかなった構造です。一方で、本体重量は740g→590gと大幅に軽くなっています。


また、雲台ベースを留めるネジは従来は手回しでしたが、これが手回しに加え、マイナスドライバーまたは六角レンチで締められるようになっています。ポラリエのステップアップキットが出た際、ここのネジが手回しであることが積載重量を制限する要因になっていたことが明らかになりましたが、そこを解決してきた形です。


筐体のサイズに余裕が出た結果、電源は単三電池2本→4本に増大。連続動作時間は未計測のようですが、駆動部分の基本構造は同一なので、かなり伸びているのではないかと思います。


本体には、直交する方向に2か所のアルカスイス対応アリガタが設けられていて、通常の赤道儀としての使用のほか、タイムラプス用雲台としての使用も可能になっています。雲台ベースがついている側には丸形の水準器も備わっていて、タイムラプス時に簡単に水平を取れます。


f:id:hp2:20190303235451j:plain

従来のポラリエにはコンパスや傾斜計が内蔵されていましたが、ポラリエUにこれらはなく、ポーラーメーターを外付けすることで対応します。ポラリエ内蔵の傾斜計はお世辞にも見やすいものではなかったですし、コンパスに至っては取り外さないと使えませんでしたから、実用的な判断かと思います。


f:id:hp2:20190303235508j:plain

より詳細な極軸の設定は、本体上部のアクセサリーシューに素通しのファインダーを取り付けて行います(アクセサリーシューの上の黒い筒)。従来ののぞき穴を見通す方法だと、利き目によっては使いづらい場合があったので、良い変更だと思います。


また、上の写真のように極軸望遠鏡を取り付けることも可能です。ポラリエだと雲台ベースを都度取り外さないと極軸望遠鏡が使えませんでしたが、この方法なら極軸望遠鏡を取り付けたままでも撮影が可能です。サードパーティー製で同様の製品はありましたが、正式に対応してくれるというのはありがたいところです。


f:id:hp2:20190303235528j:plain

本体にはシャッターケーブル接続用端子、外部電源供給用のUSB-C端子、オートガイド端子が備わっています。


動作モードは恒星時追尾、0.5倍速追尾(対恒星時)、太陽追尾(平均速度)、月追尾(平均速度)のほか、スマートフォンから速度設定が可能になっています。この「スマートフォン対応」というのがポラリエUの大きな特長となっていて、WiFi経由で前記の速度設定のほか、カメラのシャッターのコントロールなど、いくつかの設定ができるようになっています。ようやくケンコーのスカイメモTなどに追い付いてきた形でしょうか。


ファームウェアスマホアプリの作りにもよりますが、希望的観測としてはSKYPIX AstroLapse-T3のように、カメラのシャッターが開いている間はモーションを完全に停止する、といった運用も可能かもしれません。


f:id:hp2:20190303235610j:plain

これら動作モードの変更やWiFiのON/OFFなどは本体のボタンで行いますが、私が行った3日目朝の時点で一部のボタンがすでにへたっていて、うまく操作できなくなっていました(上写真右端のボタン)。耐久性の面で、ボタンの構造や材質など、見直しが必要な部分はまだありそうです。


駆動部そのものは、ポラリエ同様GP赤道儀から受け継いだものを踏襲している形で信頼性はありますし、かなり期待できるものに仕上がってきそうな感じがします。


f:id:hp2:20190303235629j:plain

こちらは参考出品の「極軸微動雲台DX」。金属削り出しの非常にがっちりしたつくりで、かなりの荷重に耐えられそうな雰囲気です*4。微動は高度、方位ともに押し引きのネジで行う方式で、雲台部には1/4インチのカメラネジのほか、35mm間隔でM8ネジ穴が用意されています。応用範囲は広そうですが、一方で重量はそれなりにあり、単純にポラリエやポラリエUと組み合わせるのはややミスマッチな感じもあります。ステップアップキットやAPシリーズなどと組み合わせて、短焦点の望遠鏡を載せるような使い方がいいかもしれません。


トミーテック

f:id:hp2:20190303235729j:plain

これまでBORGブランド……ひいては業界全体を引っ張ってきた中川氏が抜けたことで先行きが心配されたトミーテック(BORG)ですが、さてどんな具合でしょうか?


f:id:hp2:20190303235820j:plain

今回新規に出ていたのは、71FLの後継である72FLです。数値上の光学スペックは71FLとほぼ同様ですが、光学エレメントなどは新規設計とのこと。試作品がつい数日前に上がってきたばかりとのことで、製品名の刻印もなしの状態です。今年中に発売予定とのこと。


実は、この製品についてはこんなに急ぐ予定ではなかったのですが、昨年、なぜか71FLが予想をはるかに超える売れ行きを示し、在庫が尽きてしまったとのこと。本来は今年まで71FLでしのぎ、その間に72FLを開発……という予定だったのですが、71FLが早くに完売してしまい、その余波が他の製品にまで波及するという悪循環に。72FLの開発を急がざるをえなかった理由です。


中川氏が抜けたタイミングということもあり、製品の流通が滞ってしまうのは少なからず悪印象を与えたと思うのですが、事情を聞けば「なるほど」です。まさに小ロット生産の怖さが顕著に出た例で、この業界の商売の難しさが伺われます。


f:id:hp2:20190303235912j:plain
f:id:hp2:20190303235931j:plain

こちらは、昨年も参考出品されていた、115mm径のカーボン鏡筒と中判センサーに対応したBORG107FL用レデューサー「EDレデューサー0.7×DCQC」。開発は順調に進んでいるようで今年中の発売を見込んでいるようです。レデューサーの方は今春発売予定で、予想価格がすでに出ていましたが、そのお値段は……税抜23万円!107FLの対物レンズだけでも税抜29万8000円しますから、なんだかんだでトータル60万円前後は覚悟しないといけません。


とはいえ、中判対応で口径107mm, F3.9ということは、ビクセンのVSD100F3.8(税抜62万円)などが対抗になるわけで、そう考えると無茶な値段というわけでもありません。


純粋に大型センサーを用いる用途のほか、中判対応の広いイメージサークルを生かし、35mmフルサイズのセンサーでフラット補正不要の像を得る、というニーズも確実にあるようで、当然ながらある程度の勝算は見込んでいるようです。


ただ、社員の方もおっしゃっていましたが、現行のBORGのラインナップはフローライト鏡筒が大半を占め、かなり高価格帯にシフトしてしまっています。EDレンズ等を用いた「撒き餌」的な安価なラインも復活させたいそうなので、もしかすると今後、45EDIIや60EDの後継的な機種が出てくるかもしれません。


ともあれ、中川氏が抜けたとはいえ、残された社員たちは十分に気合が入っていて、そこについてはまずは一安心といった感じです。


サイトロン

f:id:hp2:20190304000049j:plain

SkyWatcherやセレストロンの製品を取り扱うサイトロンは、両者の好調ぶりを受けて大変元気な印象です。


f:id:hp2:20190304000136j:plain

ブース内で最も目立っていたのは、このRowe-Ackermannシュミットアストログラフ三兄弟です。手前から口径8インチ(20cm)、11インチ(28cm)、14インチ(35.6cm)のモデルになります。


11インチはすでに発売済みで、8インチと14インチが新製品です。


この光学系は、シュミットカセグレン主鏡の主焦点を利用したもので、シュミットカセグレンの大元ともいえるシュミットカメラと同様の発想です。シュミットカメラでは、発生する強い像面湾曲を、フィルムを曲面にすることでキャンセルしていましたが、Rowe-Ackermann光学系では像面湾曲やコマ収差を主焦点部に設けた補正レンズで補正しています。


f:id:hp2:20190304010827j:plain

上の写真は14インチモデルの補正レンズ。周辺減光なども考慮してか、かなりの大きさです。


14インチモデルは重量が30kg以上あるとのことで、価格も11インチモデルが税抜45万円前後であることを考えると相当な価格になると思われ、基本的には据え付けが前提でしょう。一般的なユーザーを考えると、8インチモデルが要注目です。こちらは重量6~7kg程度で、小型の架台でも十分に運用が可能です。


f:id:hp2:20190304000256j:plain

8インチモデルは口径が小さいため、主焦点に一眼レフを取り付けると中央遮蔽が大きくなりすぎます。上の写真のようにZWOなどのコンパクトなCMOSを取り付けて使うのが向いています。


他のモデルがF2.2なのに対し、この8インチモデルはF2.0とわずかに明るくなっています。これだけ明るいと光軸調整が大変そうですが、基本的には組み立てた状態でちゃんと光軸が出るようになっているとのこと*5。元々主鏡は球面で光軸のずれに鈍感ですし、補正板もパワーが弱いために位置ずれには鈍感……ということで、案外こんなもので十分なのかもしれません。


f:id:hp2:20190304000315j:plain

主鏡裏には、他のモデルと同様クーリングファンが備わっていて、素早い温度順応が可能になっています。一方で、コストダウンの影響か、ピント調節ノブは微動なしの通常のものになっています。Fが明るくてピント調節がシビアになりそうなことを考えると、ここは他のモデルと同様FeatherTouch Focuserを標準装備にしてほしかったところです。


また、このモデルにはミラークラッチがありません。その代わり、主鏡外周部をベアリングで抑えることでミラーシフトを防ぐ構造になっているそうです。EdgeHD800を使っている印象だと、ミラークラッチ自体、効きが怪しいところがありますし、主鏡が比較的軽量なこと、焦点距離が短くてミラーシフトが比較的目立たないことを考えると、これで十分という考えかもしれません。このあたりもいかにもアメリカらしい割り切り方です。


f:id:hp2:20190304000346j:plain

一方、SkyWatcherの製品で目を引いたのが、このSolar Questです。


大人気の自動導入経緯台AZ-GTiにそっくりの経緯台に、太陽観測用の口径70mm、焦点距離500mmの屈折望遠鏡を組み合わせています。


f:id:hp2:20190304000359j:plain

この製品のキモは、主鏡筒の反対側に取り付けられたこの小型カメラ。これが太陽を捉え、導入、追尾を行います。架台にはGPSも搭載されているので、電源をONにするだけで自動的に太陽をサーチし、導入、追尾までフルオートで行うという、夢のシステムが出来上がります。


主鏡筒の方は、対物側に減光フィルターを組み込んだ安価なアクロマート屈折ですが、ビクセン規格のアリガタ・アリミゾでの接続になっているので、他社の鏡筒に簡単に載せ替えられます。CoronadoやLuntの太陽望遠鏡を載せるとちょうどよさそうです。


価格は5~6万円程度になりそうとのことで、ニッチな分野ながらも、これもかなり人気が出そうな気がします。


f:id:hp2:20190304000441j:plain

ちなみに、架台はAZ-GTiとそっくりですが、別物の専用品です。ただ、基本構造は同一ですし、AZ-GTi用のアップグレードキットのようなものが出たらいいなと思います。まぁ、相手が太陽ですし、PL法的な観点から難しいのかもしれませんが……。


ケンコー・トキナー

f:id:hp2:20190304000459j:plain

ケンコー・トキナーは、傘下に多数のブランドを抱えているだけに、かなり大きなブースを構えていました。


f:id:hp2:20190304000525j:plain

望遠鏡については、SkyExplorerブランドの製品とミードの製品を展開していました。


f:id:hp2:20190304000536j:plain

SkyExplorerの方は、NEW SkyExplorer EQ6PRO-J赤道儀などを新製品として展示していました。もっとも、新製品といっても、違いはコントローラであるSynScanのバージョンが上がって、日本語ファームウェアとUSB-B端子が搭載されたくらい。OEM元であるSYNTA社がSkyWatcherブランドで日本市場に展開している現在、ケンコーの旗色が悪いのは確かなので、サポート面などで頑張ってほしいところです*6


f:id:hp2:20190304000607j:plain

一方、ミードの方は参考出品として、初心者向けに口径70mmと90mmのアクロマート屈折を搭載した経緯台、STARPRO AZを展示していました。片持ちフォーク式の経緯台で、徹底的な肉抜きにより、かなり軽量に仕上がっています。残念ながらフリーストップ式ではなく、揺るぎもしないような剛性もありませんが、鏡筒とのバランスは案外悪くなく、小学生などが使うにはちょうど良さそうに感じました*7。今時の製品らしく、スマホ用のアダプターが標準で付属しているのもポイントです。

価格次第ですが、案外悪くない選択肢になりそうな気はします。


f:id:hp2:20190304000642j:plain

また、同じく参考出品として出ていたのが、中級者向けのLX85 SERIES-6インチACF。ドイツ式のLX85赤道儀に、ACF光学系(口径15cm)を搭載した望遠鏡です。


ACF光学系は、双曲面の副鏡とシュミット補正板、球面主鏡を組み合わせたもので、従来のシュミットカセグレンにあったコマ収差などが補正されています。セレストロンのEdgeHD同様、修正シュミットカセグレンの一種といえます*8


架台の方は当然のことながら自動導入対応で、現代の望遠鏡に求められる一通りの性能は満たしていると思われます。


……と、一見良さそうなのですが、現時点での想定参考価格が28万円とかなり高めに設定されているのがネック。例えば、セレストロンのADVANCED-VX赤道儀とEdgeHD800のセットが25万6000円(税抜)で販売されていることを考えると、口径15cmの鏡筒のセットとしてはあまりに高価です。もっと価格を下げないと、とても売れないと思います。理想は20万円前後でしょうか。


ミードの製品については、最近海外では写真向け屈折望遠鏡の評価が比較的高くなっています。こうした製品を展開する考えはないのか聞いてみたのですが、競合の多い分野でもあり、現時点で特に予定はないとのこと。まぁ、この手合いの屈折望遠鏡中国企業OEMがほとんどなので、その意味でもあまり旨味はないのかもしれませんが、過去の経緯*9もあって日本国内でのミードのブランドイメージが大きく毀損していることを考えると、それを覆すだけの高性能製品の展開が求められるような気もします*10



また、ケンコー・トキナーのブースでは、フィルターの新製品も展示していました。


f:id:hp2:20190304000831j:plain

注目は、光害カットフィルターである「スターリーナイト」フィルターです。


広角レンズでも使えることを売りにしていて、星景写真に最適とのこと。色合いからすると、干渉フィルターではないか、干渉フィルターであったとしてもごく弱いもののようです。


f:id:hp2:20190304000847j:plain

透過特性はこんな感じ。低圧ナトリウム由来の輝線(青色)は大きくカットされ、水銀由来の輝線(赤色)も多少カットします。とはいえ、その効果はガチの光害カットフィルターと比べるとそれほど大きくありません。使用目的も考えると、空の暗いところでの「もう一押し」に効果的なのではないかと思います。

*1:当時ビクセンと提携していた、セレストロンのコーポレートカラーであるオレンジで塗装されていました。

*2:鏡面精度とガラス材質の違いで塗装色が異なり、通常の120SLが白で塗装されていたのに対し、鏡面精度λ/20を達成したRS20はオレンジに、さらに主鏡材質を青板ガラスからパイレックスに変更したRS20Pはワインレッドに塗装されていました。かつての天文少年あこがれの望遠鏡の1つです。

*3:併用不可との情報(https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1101012219624480768)もありましたが、誤りのようです。エクステンダーPHについては黄色のネジを使用するので併用不可です。なんでそんな仕様にしたんだ……orz

*4:耐荷重は未計測とのこと

*5:もちろん、別途調整は可能です。

*6:とはいえ所詮ケンコーなので、難しいのは百も承知ですが。

*7:どちらかというと、口径70mmの鏡筒の方がバランスがいい感じ。口径90mmの方は鏡筒が重すぎる印象です。

*8:当初、リッチー・クレティアンの派生形として宣伝していましたが、訴訟を起こされてACF(Advanced Coma Free)に名称を変更したといういきさつがあります。

*9:本社の財政問題、親会社の変更、頻繁な代理店の変更、代理店のサポート体制の問題など

*10:これまた良くも悪くもケンコーなので、そうした分野には踏み込まないと思いますが。

オフアキシスガイダーの調整

先日、何者かのスタンド攻撃で突如「生えてきた」IDASのNebula Booster NB1ですが、これをセレストロンのオフアキシスガイダーに組み込んでみました。


事前の予定はこんな感じ。


f:id:hp2:20190206212253p:plain

オフアキのカメラアダプター後方にあるTネジ(M42, P0.75)の後ろにボーグのM42P0.75→M57AD【7528】を接続し、ここにNB1を装着したカメラマウントホルダーM【7000】またはM57→M49.8ADSS【7923】を装着する形でした。


ところが、実際にM57→M49.8ADSS【7923】にフィルターを取り付けてみると……


f:id:hp2:20190227231948j:plain

予想以上にフィルターが出っ張ります。この厚みがあるせいで、M42P0.75→M57AD【7528】が取り付けられません。


仕方がないので、【7528】と【7923】の間にM57/60延長筒SS【7601】を挟みこむことにします。これでフィルターの厚み分は吸収され、無事Tネジ以降の構成が固まりました。


しかしこうなると、元々Tネジ~Tリングまでの光路長が6mmだったところ、【7528】+【7601】+【7923】で光路長20mmと、14mmも伸びることになります。カメラとオートガイダーのピント位置を合わせるためには、オートガイダー側も光路を延長しなくてはなりません。


そこで、有り合わせの手元パーツを組み合わせた結果……


f:id:hp2:20190227232055j:plain

こうなりました。


オートガイダー側はメタル延長筒【4604】と延長筒【4611】の2階建てに。これでどうにかピントが来ました。【4611】がプラスチック製でLodestarをフリクションで支えているだけなので、見た目上やや安定感を欠く感じがしますが、おそらく大丈夫でしょう。


f:id:hp2:20190227233444p:plain
オフアキシスガイダーの最終構成

エクステンダーPH発売

2017年2018年とCP+で参考出品されながらも、なかなか製品として出てこなかったR200SS用の「エクステンダーPH」ですが、ついに2月27日、「エクステンダーPHキット」として発売されることがビクセンから発表されました。定価は68000円(税別)。実売価格は、例えば協栄産業では60975円(税別)となっています。

www.vixen.co.jp
www.vixen.co.jp


このエクステンダーを取り付けると、焦点距離800mm, F4のR200SSが焦点距離1120mm, F5.6となり、やや小さめの天体を収めるのに最適な光学系になります。レンズはASコーティングが施され、構成は3群4枚。具体的なレンズ構成は明らかにされていませんが、予想以上に量産にてこずったことや筐体の大きさからみて、レンズ同士が大きく離れた、それなりに凝った構成になっているのではないかと思います。


イメージサークルはφ44mmを確保していて35mm判フルサイズをカバー。周辺光量も70%を確保しています。また、製品ページの作例やスポットダイアグラムを見る限り、周辺まできっちりと点像を保っていて、最近のビクセンの補正レンズの例にたがわず、かなりの高性能が期待できそうです。


賛否両論ありそうなのは例によって価格で、上で書いたように定価は68000円。コレクターPHが60000円であることを考えると妥当に思えますが、決して安くはないです。とはいえ、予想される出荷個数と性能面を考えると致し方ない価格かと思います。


ただ、コレクターPHと使い分けする際に気を付けたいのは、取り付け可能なフィルター径。コレクターPHがφ52mm対応なのに対し、エクステンダーPHはφ48mmのフィルターしか取り付けられません。共通化しようと思えば「φ48mmフィルター+ステップアップリング」ないし「φ52mmフィルター+ステップダウンリング」をどちらかに対して使うしかありません。エクステンダーPHの筐体を少し太らせれば済む話だったのですし、せめて同機種に使用する補正レンズ間くらい、規格をそろえてほしいところです。


もっとも、エクステンダーPHがこういう仕様になった理由は、どうもΦ50.8mm(2インチ)スリーブ経由でも取り付けられるようにしたためのようです*1。R200SSに取り付けるだけならそんな構造にする必要はないはずなのですが、製品紹介ページに「理論上、放物面鏡であれば同等の効果が期待されますが、他社製品への応用につきましては、お客様の責任にてご使用ください」と書いてあるあたり、「察しろ」ということのようですね(^^;

ぶっちゃけ、SkyWatcherの「BKP200/F800」あたり、ドンピシャじゃないかと思います。まぁ、鏡筒本体の価格より補正レンズの方がずっと高いというのも、心理的にはちょっとアレですが……( ̄▽ ̄;ゞ

*1:だったらコマコレクターPHの方もそうしてくれれば……というところですが、こちらはこちらで周辺光量確保のためレンズ径を譲れなかったということかもしれません。